【コラム】月給者・日給者の最賃割れにご注意!

ひと目でわかる最低賃金2022
ひと👀でわかる最低賃金 より

10月から地域別最低賃金が改正され、すでに適用されています。
今年は最大で33円、全国平均も過去最高となる31円の引き上げとなりました。

10月度は改正適用後はじめての給与計算になります。
このタイミングで新しい最低賃金を下回ってしまった方がいないかチェックすることをおすすめします。

最賃割れを見過ごしてしまうと未払い賃金となり、トラブルに発展する可能性もありますので注意が必要です。

今回はパートタイマー・アルバイト・臨時・嘱託など呼称や雇用形態に関係なく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用される『地域別最低賃金』で解説します。

◆時間額の算出方法

最低賃金と比較するための時間額は、以下の方法で算出できます。

最賃確認方法
厚生労働省リーフレットより

1. 時間給の場合
◉ 時間額=時間給

2. 日給の場合
◉ 時間額=日給÷1日の所定労働時間

3. 月給の場合
◉ 時間額=月給÷1か月の平均所定労働時間 または (月給 x 12か月)÷(会社の年間所定労働日数 x 1日の所定労働時間)
※1か月の平均所定労働時間=(365日(閏年は366日)−会社の年間所定休日数)x 1日の所定労働時間数 ÷ 12か月

4. 上記1〜3の組み合わせの場合例えば基本給が日給制で各手当(職務手当等)が月給制などの場合
上の 2.日給の場合、3.月給場合 の式により、それぞれ時間額に換算しそれらを合計した額
《計算例》

最賃確認例 日給+月給の場合
厚生労働省 必ずチェック最低賃金より

5.出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
◉ 出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除した金額

《ポイント》
最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金なので、最低賃金を計算する場合には、実際に支払われる賃金から以下の賃金を除外したものが対象となります。固定残業代は基本的な賃金に含みません。

※最低賃金の対象とならない賃金

  • (1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • (2)1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • (3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  • (4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  • (5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  • (6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

◆いつから変更すれば良いの?

最低賃金額は、発効年月日以降の賃金に適用されます。

月給制で、給与計算期間の途中に最低賃金額が変わる場合は、計算が煩雑になるため期間の初めから昇給することが多いようです。
《例》◉20日締めの場合 ⇨ 9月21日に昇給  

令和4年地域別最低賃金一覧表
厚生労働省リーフレットより

◆本社と勤務地の最低賃金額が違う場合、テレワークの場合はどうなる?

実際に勤務(所属)している事業場のある都道府県の最低賃金額が適用となります。

たとえば本社が東京で営業所が愛知の場合、営業所に勤務している従業員の最低賃金は「愛知 986円(2022年10月1日時点)」です。

本社が東京で愛知で働く場合でも、愛知に営業所や事務所がなく、ホテルに滞在しながら客先に出向くような働き方をする従業員の最低賃金は、所属先(本社)がある東京の最低賃金が適用となります。

テレワークの場合も、原則として所属する事業場がある都道府県の最低賃金が適用されます。

◆まとめ

月給者の時間換算額の見直しは、意外と見落としがちです。

また、固定残業代や通勤費を含めて計算してしまっていることも多いです。

自社で給与計算をしている場合はもちろん、給与計算業務をアウトソーシングしている場合も最賃割れのチェックは必須です。

イレギュラーな対応の多い中小企業の給与計算は、難度が高く担当者の心理的負担も大きいです。

担当者の不安を軽くするためにも、給与計算のチェックが必要な場合はご相談ください。

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